神具は祭具とも呼ばれ、その名のとおり祭祀や祭礼に用いる器物のことである。
その種類は多様であり、何れもが少量生産、大部分が手作りである。伊勢大神宮の御遷宮調度師として名高い坂本家が世に出るのは江戸中期のことであるが、もちろんそれ以前から、京都の神具は全国に先んじて発達していた。ちなみに、現代においても、式年遷宮の神宝装束は京都の業界で製作されている。
京都は明治維新まで皇室の所在地であり、各種の式典、行事も多く、古くから神社の神事も盛んであったために、それらの調度や衣装(装束)などを作る専門家を多数必要とした。
一方、装束であるが、神職(神主)は狩衣、浄衣を通常着用するが、祭祀や祭礼にあたっては束帯、衣冠を着けるのがならわしである。もともと束帯は正式な朝服であり、衣冠は宿直の際などに用いる略服であったが、いつしか衣冠も束帯と同じく朝服となり、有位の者が着用するのを許され、現在では神職の正装となっている。室町時代以前より西陣で織り続けられてきたが、このうち、山科家は宮中の装束を、そして高倉家は将軍家や諸大名の装束を、それぞれ西陣の御寮織物司に命じて作らせていた。また、これは神具においても同様で、祭礼に用いる神輿、鉾、錦旗などの飾り物は、そのほとんどが西陣の錦綾や金欄などによっている。
第二次大戦後、一方においては、神社をはじめ各種会館やホテルなどで神式の結婚式場を設けるところが増え、あわせて伝統行事の全国的復活など、神祀調度や装束に対する需要は今後も増える傾向が続くものと期待される。
神輿製作工程
木材の乾燥
1
尺座
神輿の幅、高さ等を決定。
2
図面
設計図の作製。
3
木取り
4
各種装飾品
・彫刻
・漆塗り
・採色
・金箔押
・組紐
・錺金具
5
組み立て
6
かざり付け
7
完成
8